e
e
           1962年第5回クラブマンレース(雁の巣)

 雁の巣飛行場は博多湾にのぞむ平坦な砂地に鉄板を敷いた滑走路とそれをとりまく 4.3kmの誘導路をもっている。この誘導路に1962年7月14、15日、150台のレーシングモーターサイクルが集まり、走りまくった。第5回全日本クラブマンレースである。主催は全日本モーターサイクルクラブ連盟と九州タイミング・アソシエーション、シェル石油と本誌とがこれを後援した。
 7月14日、予選が行われたが、これは省略し、決勝のもようのみを記述する。

                             
50ccクラス

8周 34.4km

CR-110と新人・大月信和の完勝

 7月15日,午前9時15分,15台の50cc レーサーがスタティング・グリッドに並び,エンジンのウォーム・アップを始めた。そのうち3台の4サイクル車がいる。2台のCR-110と1台のスポーツカブである。
 9時17分スター卜旗が振り下された。横山徹(東京オトキチ・ランペット)が速い。耳を刺す排気音を残して彼は第4コーナーまでリードを保った。しかし彼のエンジンは余りにも短命だった。第4コーナーを出てから,彼のランペットは沈黙した。ピストンに穴があいたのだ。1周目のトップは、半場精一(東京オトキチ・ランペット)が引きつぎその2m後に榎本正夫(東京クレージライダース・CR-110)が,その後に20m離れて大月信和(テクニカルスポーツ・CR-110)がつづく。2周目にこの3者はひとかたまりになってやって来たが,リードしているのは大月のCR-110,つぎにランペットの半場、そのぴたり後に榎本のCR-110となっている。CRの攻撃がはじまったのだ。3周目榎本がトップだ。すぐ後に大月がついている。200m遅れて来たのは半場か,いや,そうではなかった。セルペットの矢島金次郎(城北ライダース)だ。この矢島から500m離れて岡野文雄(東京クレージ・ライダース・ランペット)が4位と上がってきた。
 このレースはレース半ばに至らずして先が見えた。CR-110 2車の確実な歩みが,8周のうちに3位以下をどれだけ離すかが残された興味となった。榎木と大月のCR-110による勝利のデュエットは互にその位置を交換しながら8周まで続いた。その間,5周目まで3位にいた矢島に代って6周目から安良岡健(オールジャパングランプリ・ランペット)が3位を守った。矢島のセルペットの音が乱れている。彼は6周目最下位で,そして7周目に姿を消した。エンジントラブルと伝えられた。3位の安良岡は半周以上も1、2位から離れている。それに400mおくれて昨年の50cc優勝者西久保功(ABCスピード・ランペット)が静かに走り去る。
 ゴールは0.6秒の差で大月信和が1位,2位に榎本正夫が,そして約1分近くおくれて3位の安良岡健が帰ってきた。4位は1位に62秒おくれて西久保功がゴール。

50cc 8周 34.4km
順位 ライダー名 クラブ名 車名 タイム
1 大月信和 テクニカル・スポーツ カブ・レーシング 24.55.2
2 榎本正夫 東京クレージーライダース カブ・レーシング 24.55.8
3 安良岡健 オールジャパンGP ランペット 25.48.7
4 西久保功 ABCスピード ランペット 25.57.4
5 W・エリス オールジャパンGP ランペット .
6 尾形正弘 九州レーシング ランペット .
7 斉藤 学 レンシュポルツ ランペット .
8 岡野文雄 東京クレージーライダース ランペット .
9 大久保力 東京オトキチ ランペット 2周オクレ


125ccクラス

12周 51.6km

またもホンダCRの独走
レーシング車とスポーツ車の相違あきらか


 125ccの予選申込みは33台,不出場が11車あって,決勝に進出したもの15台,予選で落ちたものの中に横山徹(東京オトキチ・トーハツ)がいる。彼はエンジントラブルで脱落したのだ。
 決勝のスタートは9時55分。ベンリイ・レーシングのCR-93が2車いる。そのうちの一台に50ccクラスで優勝したばかりの大月が乗った。もう一車はテクニカル・スポーツの渥美勝利がまたがっている。
 1周目,先頭を切る車が10m間隔で視野にとびこんできた。生沢徹(東京オトキチ・トーハツ),増田恒弘(大阪レッドセブン・トーハツ),渥美勝利,鹿毛高志(九州レーシング・トーハツ)の4人だ。5位には城北ライダースの矢島金次郎(コレダ)が4位から100mおくれて追っている。もう1台のCR-93に乗った大月はスタートが悪くこの周12位,ビリから3番前で通過。一番ビリの吉田哲夫(城北ライダース・コレダ)のエンジンは早くもバラついている。
 生沢のリードは2周日の第4コーナーまでもった。3周目,ホームストレッチに最初に姿を現わしたのは渥美のCR-93だ。生沢のトーハツはそのスリップ・ストリームに入っている。4周目,渥美のトップは変らない。2位は3周の間に11人も抜いて上った大月が3位になった野田樹郎(九州レーシング・トーハツ)の前に割りこんでいる。生沢は4位だ。200mおくれて九州レーシングの鹿毛高志(卜ーツ)がつづく。
 5周目からこの4人の戦いが続いた。6周目渥美のトップの守りは堅く,2位に野田、3位に生沢,4位に大月と一群となって走り去る。150mおくれて鹿毛、500mも離れて城北ライダースのボブ・バーンがコレダで通過。7周目大月のCR-93が2位に上った。9周目に野田が大月をぬいて2位に上がった。卜ーハツがCR-93に挑戦したのだ。しかし,次の周、大月,渥美とCR-93がリードし.その真空地帯に入った野田のトーハツは軽く一蹴されたようだ。4位の生沢は300mも離されている。あと1周という時,現われたのは握美・大月のCR-93 2車だ。400mおくれて生沢がきた。野田はどうしたのか。CR-93に喰い下がっていた九州の野地がいないのだ。本部の無線電話が落ち着いた声でわめき始めた。救急車、救急車、第3コーナーへ急行,第3コーナーへ急行。野田は第3コーナーで転倒したのだ。一方,トップ陣はもうゴールに迫っている。渥美はチームメイトの大月を400m近くを離してゴールイン。2位の大月に1km近くおくれて生沢徹が3位に入った。

125cc 12周 51.6km
順位 ライダー名 クラブ名 車名 タイム
1 渥美勝利 テクニカル・スポーツ ベンリー・レーシング 31.43.7
2 大月信和 テクニカル・スポーツ ベンリー・レーシング 32.00.7
3 生沢 徹 東京オトキチ トーハツ 32.51.7
4 鹿毛高志 九州レーシング トーハツ 33.46.1
5 B・バーン 城北ライダース コレダ 34.14.7
6 半場精一 東京オトキチ トーハツ .
7 大久保力 東京オトキチ トーハツ .
8 R・カニンガム 東京オトキチ トーハツ .
9 増田恒弘 大阪レッドセブン トーハツ 1周オクレ
10 平位政之 九州レーシング トーハツ .
11 加藤爽平 東京オトキチ トーハツ 2周オクレ
12 吉田哲夫 城北ライダース コレダ .


250ccクラス

15周 64.5km

ヤマハYDS、ホンダCBを破る
三室恵義、ジユニア・サーティーズの走りぷり


 250cc決勝は15車の出場,ヤマハ3車,トーハツ1車,ドリーム11車から構成されている。スタート時に最初にとび出したのは神戸木の実クラブの久木留博之(ヤマハ)だった。しかし,1周目本部前を後続のライバルとは明らかに速度の速いトップは三室恵義(スポーツライダー)のヤマハだ。速い,目で見てその速さの差がわかるほど速かった。2番目の久木留を300mリードしている。3番は150mおくれて九州レーンング協会の伊藤五郎(ドリーム)同クラブの平岡良元(ドリーム)の順。1周目の最後尾は有望視されていた大沢ワ(レンシェポルツ・ドリーム)だ。彼は半周以上もおくれている。車の調子が悪いようだ。
 2周目,トップの三室の体半分以上が車体の外にはみ出したリーン・インが,ジャパニーズ・ジュニア・サーティーズという言葉を思いつかせるほどの疾走がつづく。彼におくれて2位にいるのは片山義美(神戸木の実・ヤマハ)だ。彼は1周目5位にいたのだ。3周目,最後尾の大沢がトップの三室に追われている。2位は片山,前の周から3位に久木留が上っている。4周目、トップの三室と2位の片山との差は150m。この縮めた差だけ片山と3位の久木留の間が開き,いまは400 mとなった。5周目、片山は三室のスリップ・ストリームの中にいる。その感覚は3mとない。片山と久木留は600mも離れた。そして久木留と4位の安良岡健(オールジャパンGP・トーハツ)の間は1000mも開いている。6周目,トップは片山だ。その背後に三室がそれを追う。この2車は次の周その順位を逆にしてやってきた。そして三室,片山の差は10周まで150m以上は開かず,11周目に片山は差を5 mとつめ,12周目に片山はトップに立った。三室は200mほど後にいる。レースはこの2人だけが演じている感がする。13周目,またも三室がトップを奪いかえし,2位は片山でなく,九州レーシング協会の緒方正治だ。しかし,2位の差は800mも開いている。3位は久木留。不思議なことに久木留の5m後に前周トップだった片山がいるのだ。この2台のヤマハがドリームをあおりたて,次の周にそのドリームをエンジントラブルで姿を消す破目にまで追いまくってしまった。14周目三室のヤマハは依然とトップを守り、400mおくれて片山、200mおくれてクラブ・メイトの久木留がヤマハ3車だけのレースを展開していく。その他の車は2000mも離れた所で4位争いを演じているのだろう。ゴールは三室恵義400m片山義美,700m久木留博之の順。ヤマハ3車出場で,ワン・ツウ・スリを数えさせ,浅間のヤマハを再現させた一幕であり,ホンダ攻勢に一矢を報いた一番でもあった。

250cc 15周 64.5km.
順位 ライダー名 クラブ名 車名 タイム
1 三室恵義 スポーツライダー ヤマハ 37.51.1
2 片山義美 神戸木の実 ヤマハ 37.59.3
3 久木留博之 神戸木の実 ヤマハ 38.45.5
4 安良岡健 オールジャパンGP トーハツ 39.02.8
5 鴨川清志 九州レーシング ドリーム .
6 増田健次郎 大阪レッドセブン ドリーム .
7 白谷六男 九州レーシング ドリーム 2周オクレ


350ccクラス

20周 86.0km

大沢ワ(ドリーム)の独走
宇野順一郎(AJS-7R)は5位にとどまる。


 このクラスは決勝14車出場。1台のAJS-7R 他は全部ドリームである。スタートのトップは岡野正雄(東京クレージーライダー・ドリーム)だった。1周目,この岡野が同クラブの榎本正大(ドリーム)を5m後にして走リ去る。3位は200mおくれて大沢ワ(レンシュポルツ・ドリーム)だ。2周目,岡野,榎本の順位もその差も変らないが,3位の大沢がせめ寄ってきた。4位はAJSに乗る宇野順一郎(レンシュポルツ)。3周目,大沢の攻撃に榎本は屈し,その2位の座をゆずった。4周目,大沢は岡野も破り,トップに立った。大沢のトップの座の守備は固く、他を全く寄せ付けなかったばかりでなく,1周ごとに引離していった。一方,岡野のもった2位の守備位置は9周目に至って1位大沢と300m引離され,次の周にはそれを榎本にうばわれざるを得なかった。9周から2位に上がった榎本は20周のゴールまでそれを守った。1位と2位の差は400mから600mまでの変動があったが,それ以上にも,それ以下にも変化しなかった。AJSの宇野は14周まで4位にいたが,九州レーシングの松本明(ドリーム)にぬかれた。この2人は8周目から激しいせり合いを演じ,15周に入った最初の右カーブで松本がアウトコースから強引にぬいていたのである。結果、レースは大沢の独走に終った感の強いものとなった。

350cc 20周 86.0km
順位 ライダー名 クラブ名 車名 タイム
1 大沢 ワ レンシュポルツ ドリーム 48.35.6
2 榎本正夫 東京クレージーライダース ドリーム 48.51.8
3 岡野正雄 東京クレージーライダース ドリーム 49.06.5
4 松本 明 九州レーシング ドリーム 49.37.7
5 宇野順一郎 レンシュポルツ AJS 49.57.7
6 ポール・リンク 九州レーシング ドリーム .
7 フランク・コーン 九州レーシング ドリーム 1周オクレ
8 宮田早見 九州レーシング ドリーム .
9 バットマン 九州レーシング ドリーム .
10 R・ブリーア 九州レーシング ドリーム 2周オクレ
11 G・マーロー 九州レーシング ドリーム .


500cc(351cc以上)クラス

20周 86.0km

BMW-RSの藤井猛、BSAの池田徳寛を降す

 351cc以上の車を一まとめにしたのがこのレースである。出場申し込みは9台。不出場1台。BMW-RSが1台いる。第3回クラブマンレース(宇都宮)で伊藤史朗が乗り優勝した車だ。それをレンシュポルツの会長である臼田氏が買い入れ,同クラブの藤井猛がこれに乗る。
 1周目,硯禎章(ツーリスト・トロフイ・BSA)がトップ,吉村秀男(九州レーシング,BSA),池田徳寛(レンシュポルツ・BSA)とつづく。2周目から硯と吉村はその位置を交換,4周目に硯は3位におち,2位には池田が上がってきた。1位吉村との差は200m。BMWの藤井猛は1周6位から,この4周目には4位に上がってきているが,1位との差は1.5kmも離れている。この車特有のくせの悪いコーナリングに藤井は苦しめられているようだ。6周目の第3コーナーからトップの吉村の姿は消えた。転倒したのだ。だからこの周からは池田がトップに立った。7周からBMWが2位に上がったが1位池田との差は1300mもある。しかし藤井のBMWのコーナーでの速さが増したようだ。11周目にBMWは池田のBSAに400mとせめ寄った。それはせめ寄ったという言葉にふさわしい追い方だった。次の12周目にはBMWはBSAの50m前を走ったからだ。この二人の争いがこのレース唯一の興味だった。18周目,池田は藤井に5mと接近したが,19周目に600m近くもおくれてやってきた。この2人があまりにも速すぎたため,1周おくれとならない完走者は1人もなかった。

500cc(351cc以上) 20周 86.0km
順位 ライダー名 クラブ名 車名 タイム
1 藤井猛 レンシュポルツ BMW 51.03.4
2 池田徳寛 レンシュポルツ BSA 51.21.3
3 小池 松 埼玉ホンダツーリング Triumph 1周オクレ
4 J・ムーア 九州レーシング Triumph 2周オクレ
5 硯 禎章 ツーリストトロフィ BSA 5周オクレ


日本選手権レース 50ccクラス

15周 64.5km

田中健次郎学校(テクニカル・スポーツ)の成果あがる

 このクラスはセルペット3車,ランペット4車が出場、それにクラブマンレースで5位までに入賞したカブ・レーンング2車とランペット3車で争われた。
 スタートからトーハツスピードの野地誠がリードを奪った。2位に同チームの有川秀男,クラブマンの安良岡健,CR-110の榎本正夫,大月信和とつづく。2周目、野地のランペットはさえわたり,2位の有川を300m離している。有川の100m後で榎本が安良岡をぬいて,また安良岡の背後には大月が機を狙っている。3周目,CR-110 2車はもう 2,3
位に上がってきた。しかし,野地のランペットは500m 前を彼の射程椎郎外に逃れている。有川は4位だ。5周目にCR-110はランペットに400mと近づいた。6周目300m、まだ攻撃は始まらない。8周目CR-110の,2位になった大月の攻撃が始まった。ランペットを150m前にがっちり捕えている。9周目大月の攻撃は成功し,野地は3位の榎本に激しい挑戦を受けている。11周目2台のCR-110は野地の100m前を逃げている。残された興味はこの2者の差がどこまで開くかということだ。12周は200m,13周は500m,14周は800mと開いていった。それでも,3位の野地と4位の有川との差は2km近くも開いているのだから,野地が遅いのでなく CR-110が速すぎるのだ。ゴールは榎本正夫が一車身大月信和を離してゴール,それに1km近くおくれて激戦に耐えぬいた野地誠がゴールインした。

日本選手権レース 50cc 15周 64.5km
順位 ライダー名 クラブ名 車名 タイム
1 榎本正夫 東京クレージーライダース カブ・レーシング 44.55.1
2 大月信和 テクニカル・スポーツ カブ・レーシング 44.55.9
3 野地 誠 ト−ハツスピード ランペット 45.23.5
4 有川英司 ト−ハツスピード ランペット 47.04.7
5 藤井敏雄 城北ライダース セルペット .
6 安良岡健 オールジャパンGP ランペット .
7 西久保功 ABCスピード ランペット 1周オクレ
8 W・エリス オールジャパンGP ランペット .


日本選手権レース 125ccクラス

25周 107.5km

ホンダCR-93に敵なし
テクニカル・スポーツの一期生2度目の優勝


 このクラスでコレダは単気筒ピストンバルブの工場レーサーを出場、卜一ハツはLDのエンジンをチュンアップしたと思われるLRを,そしてポインターは1台だけを出場、片山義美がそれに乗った。クラブマンからはCR-93が2台と2台トーハツと1台のコレダが出場。
 スタートからトーハツの有川秀男がリードした。3周にはCR-93の大月信和がそれを奪い,4周目に有川のエンジンは調子が落ち、6位に転落していった。CR-93のデュエットが始まったのはこれからである。この低音の二重奏はレースが終るまで離れたり,近づいたりしてそのハーモニイの変化楽しんでいる。4周から3位に上がったのは生沢徹だった。このとき2位渥美勝利と10mしかなかった差が5周目には400mも開いた。このCR-93対トーハツの差が9周目に700m,10周目に800m,11周目に1.1kmと離されていった.。もう15周をすぎるとこのコースにレースはなく,孤独な1人1人の疾走があるのみとなった。

日本選手権レース 125cc 25周 107.5km
順位 ライダー名 クラブ名 車名 タイム
1 大月信和 テクニカル・スポーツ ベンリー・レーシング 65.40.4
2 渥美勝利 テクニカル・スポーツ ベンリー・レーシング 65.40.8
3 生沢 徹 東京オトキチ トーハツ 1周オクレ
4 安良岡健 オールジャパンGP トーハツ .
5 鹿毛高志 九州レーシング トーハツ .
6 B・バーン 城北ライダース コレダ 2周オクレ
7 松内弘之 城北ライダース コレダ .
8 有川秀男 ト−ハツスピード トーハツ 5周オクレ


日本選手権レース 250ccクラス

25周 107.5km

怪童片山義実の狂気の独走−しかし,2位となる

 9台の出場車が並んだ。4時5分このレースの最後のスター卜旗が振られた。2分30秒足らずでトップがきた。片山義美だ。2位争いの三橋実,三室恵義,松島弘規,永田栄一らの一群を100mも離している。2周目トップの片山の狂気のような疾走に松島(ロアヤマハパーテー)がつづく。2人ともヤマハである。松島に100mおくれて三室(ヤマハ)が、そしてその100m後では宇野順一郎(ドリーム)と三橋(ヤマハ・スポーツライダー)が4位の座を争っている。3周目松島はトップ片山に挑戦。この戦いのため3位に上がった宇野を500mも離した。4周目、片山は松島を300m離し,500m後方では三橋が3位を奪い,取られた宇野とせり合っている。6周目,2位にいた松島が来ない。トップ片山に600mおくれて三橋,100m後に宇野が2台のヤマハを追う。8周目,宇野が2位に上がった。しかし,1位片山との差は800mもある。宇野の20m後で三橋が喰いさがる。9周目,2位宇野に三橋の攻撃がつづく。4位の三室との差は1km近くもありそう。そして三室と5位の永田(ドリーム・大阪レッドセブン)との差はそれ以上にある。これもまたレースは2位争いだけとなった。10周目、三橋はふたたび2位を取った。11周目宇野のドリームは沈黙し,脱落していった。12周目、片山と2位三橋の差は700mもあり,その間に周おくれ3車をはさんでいる。8周目になって三橋はその差を300mとちぢめた。次の周彼は片山をぬいた。片山の調子が落ちたとも見えないし,三橋が前より速くなったとも見えなかったが・・これはあとで,ヤマハのレースマネージングのためと判明した。どうりでそれ以後の片山は三橋とせり合っていながら上半身が以前より,それに三橋より起きている。25周目のゴールには2車身ほどおくれて1位の三橋に片山がつづいた。5時5分だった。

日本選手権レース 250cc 25周 107.5km
順位 ライダー名 クラブ名 車名 タイム
1 三橋実 スポーツライダー ヤマハ 62.33.1
2 片山義美 神戸木の実 ヤマハ 62.33.9
3 鴨川清志 九州レーシング ドリーム 1周オクレ
4 三室恵義 スポーツライダー ヤマハ 2周オクレ
5 吉住 弘 九州レーシング ヤマハ .



                                 Menu へ