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           1960年第3回クラブマンレース(宇都宮)ー2

350ccクラス

野口種晴のひとり舞台
望月泰志よみがえる(2位)
益子治、無念ノークラッチ


(レース経過は省略)

350ccクラス決勝(20周55.05km)予選ナシ
順位 車番 ライダー名 年齢 クラブ名 車名 レースタイム ベストラップ
1 E1 野口種晴 27 ノムラヤマハ ヤマハS 36.42 1.42
2 E5 望月泰志 28 ハイスピリッツ ヤマハS 36.58 1.47
3 E17 大竹 徹 28 ホワーエセス ヤマハS 38.14 1.47
4 E13 松内弘之 24 城北ライダース ヤマハS 38.16 1.50
5 E3 硯 禎章 24 和歌山TT ヤマハS 38.24 1.47
R E8 益子 治 23 ミナトヤマハ ヤマハS . 1.46
R E6 若林準一郎 20 ハイスピリッツ ドリーム . 1.52
R E16 鈴木隆司 20 ヨコハマヤマハ トライアンフ . 2.10
R E18 大橋敏雄 28 福島スポーツライダー ヤマハ . 2.07
R E15 吉野義雄 32 オール千葉 ヤマハS . 1.54
R E9 阿久津孝昌 25 東京ビーグル ドリーム . 1.45
R E12 Breer 21 九州タイミング ドリーム . 1.46
R E7 鳥羽良蔵 23 ミナトヤマハ ヤマハS . 2.09

500ccクラス

伊藤史朗終始トップ
1,2位ともにBSA


 500ccクラスの決勝は,予選が行なわれず,4日午前11時咤45分にスタートした。出場選手は11名。20周の55.05km。うち10周まで走ったのが5台,最後まで完走したのが2台,13周までは走っているものが4台に過ぎなかった。

 初めの予想通り,今年のヨーロッパグランプリで活躍した伊藤史朗(パルコムコンペティション)BSAが圧倒的な強みを発揮して,第1周目から最後まで終始トップを占め,これによくついて走ったのが車番12フエルダル(九州タイミング)B SAであった。

 フエルダル選手はこのクラブマンレースには初めての出場であるが,地元福岡でのアマチュアレースでは度々その手腕を発揮している。

 運転技術とくにすぐれているとはいえないが,しかし1歩もゆずらぬファイトは,伊藤史朗選手の独走気味のレースに,唯一の興味をつながせた。

 3周目で一ノ瀬保長(BSA)真橋金造(BSA)長尾晴雄(BMW)、5周目に井口進(メグロ)、6周目に木村昭治(BMW)がおち第2回クラブマンレースで活躍した吉田治(東京サイクロン,BSA)が7周目で棄権した。F.ボイヤー(トライアンフ)13周目脱落。

 従って,7周目以後で殆んど順位は決まってしまった。6周目では上位は伊藤史朗,フエルダル,ボイヤー,吉田の各選手によって占められていたが,7周日で吉田選手が落ら,13周でボイヤーが落らて,下位を走っていた大竹滋之選手と松本孝選手が上って来たわけである。

 結局伊藤が33分20秒でゴールインした時には,2着のフェルダルはぴったりと後ろについて,5秒遅れの33分25秒で入った。フェルダルの健闘は賞讃に値する。この時大竹選手と松本選手は16周目を走っていた。そのため完走はしなかったが,3位は大竹滋之,4位は松本孝となった。伊藤史朗のベストラップは9周目の1分37秒で平均時速102.0km/h,20周での平均ラップは99km/hである。3着の大竹のベストラップは16周日の2分1秒,4着の松本のベストラップは10周目の1分50秒である。

 このレースの開始前,各コーナーに数千の観衆が入りはじめ一時中止して,その整埋に当ったが,一応レース実行可能かどうか,試走を行ったがそのおり3車故障,欠場のやむなきに至った。例年のことながら訓練されていない観衆の整理には手をやく。

500ccクラス決勝(20周55.05km)予選ナシ
順位 車番 ライダー名 年齢 クラブ名 車名 レースタイム ベストラップ
1 F2 伊藤史朗 20 バルコムコンペティション BSA 33.20 1.37
2 F12 Feldhale 21 九州タイミング BSA 33.25 1.36
3 F6 大竹滋之 31 ハイスピリッツ BSA . 2.01
4 F9 松本 孝 . 川崎スピード トライアンフ . 1.50
R F4 F.D.Boyer . ヨコタ トライアンフ . 1.40
R F11 吉田 治 23 東京サイクロン BSA . 1.36
R F1 木村昭治 18 東京サイクロン BMW . 1.57
R F8 井口 進 32 ハイスピリッツ メグロ . 2.00
R F13 一ノ瀬保長 16 オールジャパングランプリ BSA . 1.54
R F5 真橋金造 . 東京サイクロン BSA . 2.00
R F10 長尾晴雄 22 バルコムコンペティション BMW . 2.05

501cc以上クラス

21才の外人ライダー・ワッセル優勝をさらう
ワツセル,最高ラップタイムも


 500ccレースは,観衆が続々コースになだれこみ,同時にコースは荒れに荒れ,レース運営が一時ーマヒ状態におち入ったのち行われたが,このレースの次に行われた501cc以上も当然おくれて,タートは予定時刻より1時間17分もおくれた1時52分。出場申込みは24名であったが,ノン・スタート8名,出場者は16名である。予選はない。

 1周目トップは九州タイミングの外人ライダーS・H・ヤードのBSA,2位これも外人ライダー,ヨコタMCのワッセル。3位塩崎和彦(和敬山T.T.でトライアンフ)、4位小倉紀和(クマンバチ、トライアンフ)、5位にはBSAシューティングスターの伊藤史朗。以下それにづづくが,重量クラスでは,直線が短かいためトップを使えないといわれるほどの宇都宮コースであり、重量車のほんとの速さは発揮できない。

 2周目ワッセルが首位,ヤード2位,3位塩崎。そして、3周目注目の伊藤史朗はエンジン焼き付きで脱落。さらにこの周、突然第4コーナーからもうもうたる煙が立ちのぼった。それはひと目で車が燃える煙とわかったが,石川賢一(サンダー)のキャブトン55年600ccが燃えたのであった。彼は最初BSA 60年スーバーロケットで出場する筈であったが、練習中ロット下がいかれてクランク破損、出場不可能となり、旧車レース国産車の部で1位となった安良岡健所有のキャブトン55年600ccをかりて出場したのだ。そして第4コーナーで転倒の際エキゾーストパイプがはずれてガソリンに引火,炎上の結果となった。レーサーに引火とは珍らしい事故であった。

 4周目以後もワッセルのトライアンフボンネビルは快調に走り、独走。5周目以後塩崎が2位にあがった。以下,転倒などによる周遅れもまじって、レースは激しい埃の中に高い排気音をとどろかせて突っ走るという重量車らしい雰囲気を盛り上げた。周を重ねる毎に、おとろえを見せないワッセルの快調が目立ちはじめた。そして脱落者、周遅れも目立ち、転倒者も目立った。15周目,トライアンフの片山(スネイルM.C.)は,コースにはみ出て来た観衆の老人に邪魔されて突っ込み、転倒、老人を怪我させると同時に自分も軽傷し、2人とも急救車で運ばれた。ライダーにとっては気の毒な転倒であった。この頃には相前後して救急車でライダーが運ばれたりしたが,レ−スは殺気めいた雰囲気となっていた。21才のワッセルはトップ独走のまま,2位塩崎を51秒もはなしてゴール。なお彼は全クラスを通じて国際レースの最高につぎ次位のラップタイム1分31秒を樹立した。しかし時速になおすとわずか108.791km/hである。これはコースの貧しさを物語っている。

501cc以上クラス決勝(20周55.05km)予選ナシ
順位 車番 ライダー名 年齢 クラブ名 車名 レースタイム ベストラップ
1 G2 Wassell 21 ヨコタ トライアンフ 34.48 1.31
2 G8 塩崎和彦 30 和歌山TT トライアンフ 35.39 1.36
3 G13 出橋弘干 19 バルコムコンペティション BMW 36.11 1.48
4 G18 小倉紀和 21 クマンバチ トライアンフ 36.22 1.40
5 G5 飯島愛治 39 オールジャパンフジ ノートン 36.38 1.51
R G21 小池 松 25 埼玉ホンダツーリング トライアンフ . 1.47
R G15 稲波孝三 19 比叡ツーリング BSA . 1.54
R G22 佐生田日出雄 20 バルコムコンペティション BMW . 1.57
R G24 深井勝雄 . 東京サイクロン BSA . 1.58
R G9 Routt 25 ヨコタ トライアンフ . 1.42
R G14 斉藤太美雄 20 サンダー BSA . 1.55
R G10 小林一治 22 東京サイクロン BSA . 1.55
R G11 片山克彦 20 スネイル トライアンフ . 1.49
R G20 S.H.Yord 23 九州タイミング BSA . 1.49
R G1 伊藤史朗 20 バルコムコンペティション BMW . 1.42
R G6 石川賢一 23 サンダー BSA . 2.41

国際レース

完走は伊藤史朗,吉田治,ワツセルの3選手
伊藤史朗500についで堂々勝つ


 国際レースはc.c.オープンで,エンジン容積に限定はない。予選を行なわず,T・U組が一緒にスタートした。
 スタートは4日午後3時50分。スタートラインに並んだのは25台で,欠番は1・5,16,18,20,21,23,29の8台である。山場登録されていたのは34台。

 1周目,2周目ともトップは塩崎和彦(和歌山T.T.トライアンフ)断然リード。3周目後輪パンクで惜しくも棄権。

 4周目上位を占めていたのは,ワッセル,吉田治,伊藤史朗,本田和夫,近藤敏夫,鈴木聖二,花沢昭の各選手の順である。

 6周目では,吉田治,ワッセル,伊藤史朗,本田和夫,ラッツ,砂子義一,井口進,鈴木聖二、近藤敏夫の順で通過している。この間棄権した選手は,小池松はスタートで姶動不良,落合雅彦,奥山克三,塩崎和彦(H6)は何れも3周目,大石秀夫4周目,である。

 7周目ではトップにワッセルが立ち,吉田治が2位になった。これに続く上位には伊藤史朗,本田和夫,砂子義一、ラッツ,井口進,鈴木聖二,出橋弘干(バルコム)の順であった

 10周目となると順位は大体決り,走っているレーサーも11台に減った。ワッセル,吉田治,伊藤史朗,砂子義一,ラッツ,井口進,鈴木聖二,佐生田出雄,出橋弘干、井上武治,近藤敏夫の順である。この間棄権した選手は,8周目オ一夕ー,9周目本田和夫,9周目玉田真市である。

 15周目に伊藤史朗が、2位に上り,ワツセル,伊藤史朗,吉田治の順になった。

 19周目でワッセルを抜いて伊藤史朗がトップに立った。
 11周目では松島弘規が棄権、12周目で磯村昌司が,14周目で青野博が棄権している。

 トップに立った伊藤史朗がゴールインしたのが42分57秒、25周を完走したのは2着の吉田治(東京サイクロン)43分58秒,3着ワッセル(ヨコタM.C.)44分46秒の3人だけである。
 4着は24周の砂子義一(ロアーヤマハ)5着は23周のル井口進(ハイスピリッツ)である。
 以下は何れも22周以下にとどまっており,重量車クラスの出場の多いレースで,しかも国際レースというタイトルにもかかわらず,あまり迫力がなかった。それもコースの関係からであろうか。
 しかし,ワッセル選手は,本レースを通じての最高ラップ9周目1分29秒(111.2km/h)を樹立し,501ccクラスの次位記録とともに気を吐いた。
 また15位に入った花沢昭(トーハツスピード)は17周に止まったが,このトーハツは125ccレーサーで,500ccクラスの重量車陣によく軽量車クラスで挑戦力闘した。

国際レース (CCオープン)決勝(25周68.6km)予選ナシ
順位 車番 ライダー名 年齢 クラブ名 車名 レースタイム ベストラップ
1 H19 伊藤史朗 20 バルコムコンペティション BMW 42.57 1.32
2 H23 吉田 治 23 東京サイクロン BSA 43.58 1.37
3 H12 Wassell 21 ヨコタ トライアンフ 44.46 1.29
4 H8 砂子義一 28 ロアーヤマハパーティ ヤマハS . 1.44
5 H23 井口 進 32 ハイスピリッツ トライアンフ . 1.41
R H14 W.T.Roott . ヨコタ トライアンフ . 1.44
R H27 出橋弘干 19 バルコムコンペティション BMW . 1.50
R H11 佐生田日出雄 20 バルコムコンペティション BMW . 1.49
R H17 近藤敏夫 20 ロアーヤマハパーティ ヤマハS . 1.56
R H15 井上武治 38 川崎ハイスピード ライラック . 1.55
R H10 鈴木聖二 21 ヤマハチャンピオン ヤマハS . 1.52
R H30 三浦源吉 24 トーハツスピード トーハツ . 2.05
R H7 松本 孝 28 川崎ハイスピード トライアンフ . 2.05
R H26 石井義次 21 ヤマハチャンピオン ヤマハS . 1.53
R H13 花沢 昭 28 トーハツスピード トーハツ . 2.15
R H25 青野 博 . ロアーヤマハパーティ ヤマハS . 2.17
R H33 磯村昌司 . ヨコハマヤマハ ヤマハS . 2.17
R H32 松島弘規 19 ロアーヤマハパーティ ヤマハS . 2.01
R H3 本田和夫 25 オールジャパングランプリ ハーレー . 1.43
R H34 玉田真市 25 トーハツスピード トーハツ125 . 2.32
R H22 C.D.Auter 20 九州タイミング BSA . 1.56
R H24 大石秀夫 22 ロアーヤマハパーティ ヤマハS . 2.00
R H6 塩崎和彦 30 和歌山TT トライアンフ . 1.41
R H9 落合雅彦 27 ロアーヤマハパーティ ヤマハS . 2.01
R H31 奥山克三 20 ロアーヤマハパーティ ヤマハS . 2.01

クラブ優勝は「ハイスピリッツ」

クラブ得点
順位 クラブ名 得点
1 ハイスピリッツ 19
2 バルコムコンペティション 13
3 東京オトキチ 9
4 船橋ホンダチャンピオン 9
5 ヨコタ 9

コレダ RT60レーサーの模範レース

 今年のTTレースに初参加したコレダチームの3選手によって、模範レースが行われた。レーサーは勿論TTレースに出走した125ccのRT60型である。
 車番20は伊藤光夫、車番25は市野三千雄、車番24は松本聡男である。スタートは午後3時15分。コースを2周し、世界最高レースでの活躍振りをしのばせ観衆を魅了させた。

    
             RT60レーサー(125cc)                      伊藤光夫          市野三千雄          松本聡男


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