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          特集1958年第1回全日本クラブマンレース(2)

第3レース セニア 500ccクラス・ジュニア 350ccクラス(5周46.855km)


セニアチャンピオン本田和夫選手(オールジャパン)
ジュニアチャンピオン高橋国光選手(ハイスピリッツ)


                             
                500ccスタート300m地点:1番本田和夫早くもリード     350cc 28番高橋国光

(第1周)クラブ対抗レースの圧巻

 本大会クラブ対抗レースの圧巻、第3レースの出場車は、セニアクラス17車、ジュニアクラス6車である。
 この各車がスタートラインに並んでエンジン調整の爆音を立てるや、ホームストレッチ側の観衆はどっとばかりにスタートライン附近に押し出す。
 雨はやや小やみとなつたが、しかしときおり断続的にはげしく降りそそいでくる。
 午前10時50分、500ccセニアクラスのスタート旗は打ちおろされた。レーシング用タイヤの各車は猛然と走路の土を噛んで後方に吐きつける。またたく間にスタート500m地点の水だまりでは一斉に水しぶきがあがる。そのため車番はもち論、選手の姿さえかきけされる。その水しぶきの中から1番本田和夫のトライアンフが飛び出し、13番石橋BSA、11番藤井BSAに続いて国産車の12番三友ホスク、16番堀メグロが現われる。
 第2スタートの350ccジユニアクラスは第1回スタート不揃いのためやり直しの黒旗が振られたが、33番大内ヤマハこれに気づかず先発のセニアクラス陣を追い立てて行く。50R地点のコーナー審判に直ちに電話連絡、その停車方
連絡したが、そわのときすでに先発陣めセニア車がこの地点に殺到しているため、33番一車だけをとらえ、その停車を命ずることは、他車に影響するとの判断のもとに、停車信号を中止、やむなく33番車の失格を審判長において判定、よってジュニア350ccクラスは5車を以て午前10時53分再スタート。
 28番高橋BSA早くもリード、41番新田ドリーム、35番高梨ヤマハ260cc、30番青山マチレスの順で1km地点をすぎる。
 先行の11番藤井3位で50R地点をカーブしたとみる間に転倒。車を立て直す間に、16、12番にまたたく間に抜かれ、さらに後続車18番石井(義)BSA、15番井口メグロなど各車に追いこされ、やがて後発のジュニアクラス33番大内ヤマハ、28番高橋国光のトップ陣が去るころ漸く再乗これを追いかける。2番樋口トライアンフ1.5km地点でプラグキャップが飛び、猛烈な水しぶきをエンジンに受けたためショートしてエンスト。やむなく戦列を離脱。
 バックストレツチでは早くも1番本田和夫、13番石橋、12番三友、16番堀、18番石井(義)が僅少差でトップ争いを演じている。ジュニアクラスの28番高橋国光は先行のセニアクラスを猛然と追う。
 5K地点のカーブでは16番堀が12番三友を交わして3位につき、やがて6K地点の泥海に各車豪快躍り込む。5位についていた18番石井(義)エンジン不調のためもたつき、後続の15番井口、17番和田、25番本田(広)トライアンフ、20番石井(武)キャブトンなどに追い抜かれて15位におちる。5K地点からヘアピンコーナーまでめ約1K区間を、後発のジュニアクラスのトップ28番高橋国光豪快なテクニックと駿足を利してまず33番大内をとらえ、3番森田メグロな抜き、23番和知野トライアンフなどのセニアクラスを追いあげて11位でヘアピンコーナーにかかる。41番新田エンスト脱落。

8k地点の白熱戦

 ヘアピンコーナーで9位を走っていた20番石井(武〉キヤブトン転倒。再乗に約2分を費し、この間後続車10番塩崎BMW、28番高橋国光、23番和知野に抜かれる。23番に続いてヘアピンコーナーに3番森田メグロが乗り入れたとき、これを追い込んで来た18番石井(義)BSA、間一髪の間に接触、両車転倒したが、選手、車両とも事故なく、まず3番森田再乗出発、続いて18番石井が飛び出す。
 すでにトップクラスは9K地点からホームストレッチにかけて爆音を立てている。18番石井(義)7K地点あたりから猛然とスパート。やんやの歓声を受けて、3、33、23、28、20番を順次に追いあげて10位につく。ジュニアクラスのトップ28番高橋国光この間幾分もたつき、23、33、18番の各車に交わされ、さらにこの混戦の間を縫うようにして14位の3番森田が33番大内、28番高橋国光を抜いて12位につく。第1周目早くも中位陣の混戦敢闘が展開されて、この地点の観衆は、はげしい雨を忘れて傘を捨て、泥地を踏んで声援と拍手に熱狂する。30番青山マチレス点火不良のため脱落。ジュニアクラスは失格決定の33番を除き僅か3車をのこすのみである。
 ホームストレッチでは審判台前を1番本田和夫、13番石橋、16番堀、12番三友がすぎ約1K差で15番井口がこれを追う。続いて17番和田、25番本田(広)、7番中尾ノートン、10番塩崎。このあと両者タンクにぴたり伏姿勢となつた18番石井(義)BSAと23番和知野トライアンフ熱戦裡に審判台前をすぎる。18番やや優勢.23番和知野は本レース出場選手では41才で最年長組、18番石井(義)は23才。審判台をすぎる頃は18番若さの気力か、レーシングの駿足か、23番を大きく引離す。
 ジュニアクラスは28番高橋国光トップでゴール線を踏み、セニアクラスの11番藤井をはさんで、つぎに2位の35番高梨3位、しかし31番栗原メグロ、4位は失格決定の33番大内がすぎる。33番のヤマハ好調。
 この周で21番石井(信)ノートン5k地点で脱落、8番新井トライアンフは50R地点でエンジン不調、その調整のため停車し1周おくれとなる。

(第2周)28番高橋国光猛然飛ばす

 第2周50R地点ではトップの1番本田和夫と2位13番石橋の差約300mと開く。続いて16、12、15、17、25番が続き、後発のジユニアクラストップ28番高橋国光、ホームストレツチから俄然飛ばしてセニアクラス車5車を抜き、8位で快調裡に走行して行く。33番大内の健闘もものすごく50R地点まで8車を抜き10位で走る。トップ陣の順位ほは6K地点まで、全然くずれない。6K地点の泥海で5位の15番井ロメグロが後続の17、25番車に交されて7位におちる。ヘアピンコーナーは1、13、16、12、17、25、15番と続く。
17番和田この地点で転倒、この間に25、15番に抜かれる。15番井口アウトコーナーにふくれすぎ、車を立て直してインコーナーに突き進むとき、このコーナーかかったジュニアクラスのトップ28番高橋国光と接触転倒。両者ただちに車を立てて再乗。
 8K地点からホームストレッチにかけ、28番高橋国光、先行のセニアクラスを追いあげる。まず15番井口、25番本田(広)、17番和田を抜いて5位につく。またジュニアクラスの2位35番高梨も7、18番を抜いて9位に食い入る。審判台前はセニアクラスのトップ1番本田和夫、2位13番石橋、16番堀、12番ホスクの順位変らず、これに続いてジュニアクラスのトップ28番高橋国光が飛び込んでくる。

(第3周)1番本田和夫益々好調

 第3周に入つて1K地点で10番塩崎BMWエンストのため脱落、50R地点から間もなく25番本田(広)先行の15番井口メグロを抜き7位につく。18番石井(義)もたつく間にジュニアクラスの35番と33番に交される。7番中尾ノートンよく12位(セニアクラスでは9位)を保っていたが、このあたりからエンジンの不調が目立つ。5K地点からは3位16番堀エンジン不調になやみ、後続の12番三友この間をすかさず3位を奪う。ヘアピンコーナーでは益々好調の1番本田和夫通過のあと500m差で13番が続き、12番三友ホスク、16番堀メグロの両国産車がすぎる。しかし16番堀メグロエンジン不調のためエンスト脱落。
28番高橋国光BSAの駿足は、先行の12番三友を抜く。12番グリップを開いて28番高橋国光のBSAを9K地点から追い込む。2周おくれの8番新井トライアンフ、7位の15番井口のあとについて入つてくる。8番新井のコーナーリングのテクニックは見事であるが、プラグがかぶつているのかエンスト。しばらく調整して再乗、あくまでレースを捨てずに敢闘。審判台前は1番本田和夫依然強くトップ。その後を13、28、12、17、25、35、15番の順ですぎる。

(第4周)350ccクラス2車のみ

 第4周目に入ってこ13番石橋トップの1番本田和夫を一気に追いかける。しかし1番本田和夫の逃げ足は早い。
 50R地点で12番三友が28番高橋国光を抜く。25番本田(広)も17番和田を抜いて5位につく。バックストレツチでは再び28番高橋国光が12番三友を交し、両者白熱戦展開。 ヘアピンからは審判台まで入替なく、ホームストレッチは1、13、28、12、25、17、35、15、33、18番の順ですぎる。しかしトップとの差は18番の10位まで約7分差と開き、すでにトップの1番本田和夫のトライアンフは、快調の爆音をホームストレッチにとどろかし、最後尾車を追いあげている。この周31番栗原メグロ脱落、ジユニアは失格の33番大内を除き、3位を行く快調の28番高橋国光BSA、35番の高梨ヤマハの2車のみとなる。7番中尾も脱落。

(第5周)23車中完走僅か9車

 第5周目に入つて各車ともにラストスパート、雨はやや小やみとなつて来たが濃霧が深くたれこめる。
 5位の25番本田(広)不調、1K地点から後続の17番和田、35番高梨、15番井口、33番大内に抜かれる。50R地点までの間に10位を走つていた18番石井(義)は33、15、35番を抜いてたちまち7位につく。
 50Rカーブ1、13、28、12、17、35、18の順で通過、バックストレツチではトップの1番本田和夫悠然と勝利を確信して独走の感。13番石橋よく追いあげるがその差は縮まらない。5K地点をすぎて5位の17番エンジン不調、同じクラブ員である東京サイクロンの18番石井(義)にその位置をゆずる。これをジュニアクラスの2位35番高梨が見逃さずグリップ全開すると見る間に、17番を抜き、6K地点の泥海では18番を救いて5位を確保する。
 ヘアピンコーナーではこの順位くずれず大勢決したりの感が強い。第1回目に転倒アクセルワイヤを切つた11番藤井BSA左手で直接キャブの開閉を操作して苦闘を続けていたが8.5km附近のコーナーで誤つてキャブを全開。そのため急加速のBSAは2mもバウンドして転倒、右肩打撲のため脱落。
1番本田和夫トライアンフ、悠然と快調のペースでゴールイン。セニアクラスのチャンピオンを獲得する。続いて13番石橋保BSA、間もなくジュニアクラストップ28番高橋国光その駿足をゆるめず見事にゴールイン。ジュニアクラスのチャンピオン決定。これに続いて国産車ホスクの12番三友章、セニアクラスの第3位でゴールイン。続くはジュニアクラスの第2位35番高梨晃一ヤマハ、セニアクラスの4位18番の石井義男、5位の17番和田肇いづれもBSA、ゴールイン。午前11時43分レース終了花火が打ちあげられたのち、1周おくれの3番森田、あくまでレースを捨てずに敢闘する2・3周おくれの11、23、20、8番もゴール線を踏む。セニアクラス17車中完走7車、ジュニア6車中完走2車のみ。
 セニアクラスチャンピオンは1番本田和夫選手(23)オールジャパンモータータイクルクラブ、トライアンフ・トロフイバード500cc、タイム37分27秒、平均時速75.6km。
 ジュニアクラスチャンピオンは28番高橋国光選手(18)ハイスピリッツモータータイクルクラブ、BSA350cc、タイム35分54秒5、平均時速84.5km。

5周46.855km
350cc. 順位 車番 ライダー名 年齢 車名 クラブ名 レースタイム 平均時速 ベストラップ
1 28 高橋国光 18 BSA ハイスピリッツ 35.54.5 78.1 6.38.0
2 35 高梨晃一 24 ヤマハ 88 42.56.8 65.3 8.06.6
. 31 栗原正之 22 メグロ ジャガー . . 8.34.4
. 30 青山圭一 23 マチレス エーコン . . .
. 41 新田 実 21 ドリーム 三多摩ホンダ友の会 . . .
失格 33 大内建夫 37 ヤマハ 福島スポーツライダー 45.27.4 . .
500cc. 順位 車番 ライダー名 年齢 車名 クラブ名 レースタイム 平均時速 ベストラップ
1 1 本田和夫 23 Triumph オールジャパン 37.27.0 75.6 6.20.8
2 13 石橋 保 24 BSA 東京サイクロン 38.19.1 73.1 7.20.0
3 12 三友 章 22 ホスク シェバート 41.32.4 67.4 7.34.2
4 18 石井義男 23 BSA 東京サイクロン 44.58.6 62.3 8.10.2
5 17 和田 肇 27 BSA 東京サイクロン 45.18.0 61.8 8.31.8
6 15 井口 進 30 メグロ ハイスピリッツ 46.22.4 60.4 8.41.0
7 25 本田 広 27 Triumph オールジャパン 47.27.0 59.5 7.13.0
. 3 森田胤仙 32 メグロ コマンド・オブ 54.19.8 51.6 10.24.4
. 11 藤井 一 23 BSA 東京サイクロン . . 8.17.0
. 23 和知野清次 46 Triumph 三多摩ホンダ友の会 . . 10.56.8
. 20 石井武男 37 キャブトン スインギングアーマズ . . 11.03.8
. 8 新井康之 20 Triumph ハイスピリッツ . . 7.10.2
. 7 中尾之成 21 ノートン コマンド・オブ . . 9.40.0
. 16 堀 勝太郎 24 メグロ ノーリミット . . 7.26.2
. 10 塩崎和彦 28 BMM 和歌山愛輪 . . 10.33.6
. 2 樋口忠良 41 Triumph 東京サイクロン . . .
. 21 石井信常 21 ノートン 東京サイクロン . . .


第4 クラブマン模範レース 125cc・250cc・350cc混合(3周28.153km)

                   略
                                  
                         スタートラインに整列した「模範レース第1走者」


第5 旧車レース CCオープン(1周9.451km)


チャンピオン 三友章選手(シェパードクラブ)

                   略
                               

第6 国際クラブマンレース CCオープン(10周93.610km)

チャンピオン ビル・ハント選手(オールジャパン)

豪華な国際レース開幕

 プログラムではエキジビションレースとなつてはいるが、なんといつても本大会のメインエベントはこの国際クラブマンレースである。
 ライダーは在日アメリカ人と日本一流選手中より選抜のベテラン揃いであり、レーシングは英国製トライアンフのラインアップを代表するとまでいわれているトロフィバード650cc、それにタイガー110、西独製ではBMWの代表車R-69の600cc、これに対抗する国産車はメグロ500cc、ドリーム305cc、そして260ccながら駿足を以て鳴るヤマハYEと、フアイトに燃える250ccのクルーザーの何れ劣らぬ顔ぶれである。
 この豪華な内容は、漸く晴れ間をみせた高原の秋空にこだまする物凄い爆音とともに、観衆の血を湧きたたせるに充分だ。
 スタートラインについた18車のまわりには、どつとばかりに人垣がつくられ、どこかさわってみなければ気のおさまらない人々が、ライダーの革ジャンバー、ハンドル、フェンダーにとび、体ごとその爆音と振動を受けとめようとするファンは車に身体をぴつたり寄せて、いかにも感にたえたる面持ちである。
 メーカー対抗戦などには見られない、レーサーとファンがまさに一体となつた親密さは、クラブマンレースにふさわしいシーンである。
 マイクを通じて各出場選手が紹介される。9番ビル・ハント選手、いかにもはにかみながら、うつむきながら右手をそっとあげ、隣りの8番杉田和臣選手に「もつと高く」と催促されている。
 やがてスタート時間も迫り、日本最初の、国際クラブマンレースのチャンピオンをかける10周93.610km、その一大ロードレースあまさに火蓋な切らんとしている。
                                   
                      
選手紹介で右手をあげるB・ハント                 健闘したが6位に終わった伊藤史朗

(第1周)15番伊藤史朗トップ

 スターターの高くかかげる白旗に食い入るライダーの目目、そしてグリップにかける手、チェンジレバーにかける足に全神経が集中されている。瞬間スタート旗は降りおろされた。間髪を入れず轟然たる爆音を残し、土砂けむりをまいて飛び出して行く。20番大岳クルーザー、チェンジまずく少しおくれる。
 潮のような大観衆の拍手をあとに、全車すでに審判台の前を通過する。15番伊藤史朗BMWが飛び出してリード。続いて12番田中健二郎ドリーム、10番秋山邦彦ドリーム。4番手に9番ビル・ハントのトライアンフ。それにぴつたりついて昨年の浅間火山レースセニアクラスのチャンピオン8番杉田和臣メグロ、これを追うのがこれも浅間火山ジュニアクラスのチャンピオン3番鈴木義一のドリームである。
 1K地点で1番折懸六三メグロ、転倒エンスト脱落。
 50R地点は15、12、9、8、3番の順ですぎ、11番谷口ドリームこれを追いあげる。
 バックストレツチは度胸と一発屋の15番伊藤史朗BMWがトップ、9番ビル・ハントが先行の10番と12番を抜いて2位を得る。17番望月修BMW、4番田中治トライアンフいずれもエシジシ不調。次第におくれてラストクラスにおさる。
 6Kめ泥海地帯を15番伊藤史朗豪快なテクニックで乗り切る。約20mおくれて2位の9番ビル・ハントも鮮やかにこれを乗り切る。これに続いて12番田中健二郎ドリーム、10番秋山邦彦、8番杉田和臣メグロ、3番鈴木義一ドリームとすぎる。8K地点までの間に10番が12番を抜いて3位に立ち、この順位のままホームストレツチを駈けぬける。
 審判台前は15、9、10、12、8、3、11、2の順ですぎ、9番100m地点で約余飛びあがり、はっとかたずをのむ間に、車をたて直す。14位にある4番田中治トライアンフ、エンストで棄権。

(第2周)9番ビル・ハントがリード

第2周目50Rをすぎて間もなく9番ビル、・ハント、15番伊藤史朗を抜く。15番伊藤史朗BMWの全車をふるわしてこれを追いあげるが、9番ビル・ハント微動もせずに快調の疾走ぶりである。8位についていた6番J・K・ホンダが11番の谷口と3番鈴木義一の両ドリームを抜いて6位につく。100R地点では9位の2番高橋国光BSAエンスト棄権。濃霧が濃くコース場をおおう。
 9、15、10、12、8番のトップグループと、ラストグループの18番G・バーネット、21番木村との差はすでに半周差と大きく開く。
 6K地点はまず9番これを乗り切リ、次の15番伊藤史朗危なく転倒一歩手前、インコ−ナー寄りに深く突っ込んだが、瞬間車を立て直して、へアピンコーナーに向け驀進して行く。9番ビル・ハントとの差10m〜15mと開く。次の1団は10番秋山邦彦、12番田中健二郎、ややおくれて8番杉田和臣、6番本田和夫、3番鈴木義一、11番谷口尚巳が続く。約120mおくれて5番立原義次ヤマハ。 これに1分おくれて7番長谷川弘クルーザーが泥海に突き込み、インコーナ側土手に突き当り数秒間動かない。意識をとりもどした長谷川直ちにプラグを点検するが、レンチを携帯しないとみえて抜くのに手間どる。そこに同僚の20番大岳実クルーザーが通る。長谷川に「どうした」と首をふつてたずねる。「俺にかまわず行け!」長谷川手をふつて僚友の健闘を期待。大岳大きくうなずいて去る。
 この間にすでにトップクラスは9、15、10、12、8、6番の順で審判台を通過し、第3周にかかる。
 9番ビル・ハント審判台前では必ず左手で右と左の頬を軽くたたき、さらに軽く前にあげて、「周回指示諒解」の挨拶をする。

(第3、4周)本田和夫着実に稼ぐ

 第3周では1K地点で6位の6番本田和夫、先行の、8番杉田を抜いて5位にたつ。50R地点は9、15、10、12、6、8、3とすぎ、次位の11番谷口以下大きくおくれる。〉1周おくれの17番望月修BMWがすぎて間もなく、これも1周おくれの13番J・ホーレンベックのトライアンフ、カーブ一杯にふくれすぎコース外側ガケ下に転落、大きな声で「おおコワイ」と叫んでいる。やがて車を引きあげて再乗。
 バックストレツチでは3番鈴木義一先行の8番杉田和臣を抜き6位に入る.この差僅か4m差の接戦。
 6K地点は9、15、10、12、6、3、8番の順ですぎる。7番長谷川クルーザーまだ動かない。
 7K地点では6番本田和夫、12番田中健二郎を抜いて4位につき着実に追いあげて行く。8K地点からこの順位くずれず、審判台前は9、15、10、6、12、3、8とすぎ、次位の11番谷口尚巳、5番立原義次など大きく差がつく。
 第4周では50R地点を9番ビル・ハントが、2位15番伊藤史朗と約100m差をつけてかけすぎる。1周目13位で走つていた6番本田和夫4位ですぎる。観衆の中から”早いゾ”と声がかかる。5位の12番田中健二郎エンジン不調で後続車に抜かれ9位におちる。6K地点では2位の伊藤史朗またまたアウトコーナーに大きく突き込みそうになり観衆がどっとくずれる。3位の10番秋山ドリームに4位の本田和夫約3m差でじつくりと追いあげて来る。このあとドリーム陣のベテラン3番鈴木義一と、8番老練の杉田メグロが続く。
 9K地点ホームストレッチ直線コースの手前で6番本田和夫、10番秋山を抜いて3位につき、10番秋山抜きかえさんと奮戦、この接戦ホームストレッチから50R地点まで続く。審判台前通過順位は9、15、6、10、3、8、11、12、5の順。この周13番ホーレンベツク、18番G・バーネットいずれもエンスト脱落。

(第5、6周)8番杉田和臣退く

 第5周は依然9番ビル・ハントがトップ、3位の6番本田和夫50R地点でハンドルをとられインコーナーに急旋回転倒、本田は練習中に左足打撲負傷しており、左足に力がなく、この程度の急旋回常なら左足でおさえるのだが負傷の足ではおさえきれない。ただちに車を立てワンキックで再乗。しかしクラッチワイヤーを切つている。この間10番秋山邦彦するりと抜けて再び3位をとる。、8位エンジン不調のため8位の12番田中健二郎ドリームこの地点でエンスト棄権。
 トップの9番ビル・ハントを追う15番伊藤史朗、バックストレツチで15m近くに迫つたが、遂に追いきれず、この周9、15、10、6、3、8、11、5の順位のまま審判台を通過。ラストクラスの20番大岳実、21番木村力、17番望月修はそれぞれ1、2周おくれ。
 第6周の50Rで6位の8番杉田和臣メグロエンスト棄権遂に巨星落つ。バックストレツチで5位の3番鈴木義一が先行の6番本田和夫を追いあげて接戦となつたが、6番本田のトライアンフは、よく逃げ切る。
 6K地点の泥海をすぎヘアピンコーナーでは、トップを追いかける15番伊藤史朗インコースの土手に真一文字に突つ込み、急停車エンスト。伊藤車を立て直してキック。この間瞬時と思えたが9番との差すでに約3分と開く。15番伊藤いかにも無念の表情で、万身闘志に燃えて9番を追う。しかしキャブの蓋がすつ飛びエンジン回転あがらず、2位を10番秋山邦彦にゆずり、さらに66番本田和夫、3番鈴木義一に抜かれて8K地点5位ですぎる。
 審判台前は9番のトップ変らず、10、6、3、15番とすぎる。この間にはさまって1、2周おくれの5、11、20、21、17番が完走をめざして敢闘を続けている。

(第7、8、9周)本田和夫2位につく

 第7周のゴール地点から500m付近で、第3位の6番本田和夫、先行の10番秋山邦彦を抜いて2位につく。1周おくれの11番谷口尚巳1km地点で転倒したが再乗。
 トップの9番ビル・ハント、同じオールジャパンM.C.Cの6番本田和夫の2位進出に気をよくして、この回50R地点で初めて観衆の声援に手をあげてこたえる。6K地点で5位の15番伊藤史朗が5番立原義次に抜かれ、この周は9、6、10、3、5、15番の順で審判台前を通過。
 第8周に入つてもこの順位不同。2周日6K地点でエンストの7番長谷川弘クルーザーが戦列に加わり、けなげに第3周目を走つて行く。第9周に入つて50R地点から3K地点の間に4位の3番鈴木義一が僚友の10番秋山邦彦とその位置をかえ3位につき、この体勢のまま審判台前を通過し、ラストラップに入る。

(第10周)9番ビル・ハント優勝

 第10周のトップ9番ビル・ハント、2位6番本田和夫、3位3番鈴木義一、4位10番秋山邦彦は何れも快調。5位の5番立原義次ヤマハは1周おくれであるが、エンジンの乱れは見せていない。
 しかしレースは半ば終了の感、奇跡のないかぎりは9番ビル・ハントのトライアンフ優勝は動かない。それを確信したように彼は少しスピードを落したようである。それでも2位6番とは約2分差である。これらトップクラスの9、6、3、10番ともに健実なペースで走行する。それにくらべると、1、2周おくれの5番立原義次、15番伊藤史朗、20番大岳実、21番木村力はタイム短縮のために懸命な努力を続けている。
 やがて9番ビル・ハント悠然とホームストレッチを駆けて行き、ゴール合図のチェック旗がふられる。彼はバンザイしてこのチェック旗の栄光を受ける。やがて約2分おくれて2位の6番本田和夫がゴールイン。両者ともトライアンフ・トロフィバード。この間に1周おくれの5番、2周おくれの20、21番がわり込んで来るので、チェック旗のふりおろされるのがおそかつたのか、6番スピードをおとさず1K地点へかけて行く。
 続いて3位3番鈴木義一、4位10番秋山邦彦ともにドリーム陣がゴールイン。1周おくれて5位の5番立原義次ヤマハがゴールイン。それに約2分おくれて健闘の15番伊藤史朗BMW6位で入着。
 午後4時12分レース終了の花火が霧の深くたれこめた空にこだまし、豪華なる国際レースも終り、わが国アマチュアモーターサイクルクラブマンの国際ロードレース、初のチヤンピオンは9番ビル・ハント(米国)トライアンフと決定、その記録は1時間06分19秒9、平均ラップタイム6分38秒、平均時速84.5km(最高スピード記録)であつた。

10周93.610km
順位 車番 ライダー名 年齢 車名 クラブ名 レースタイム 平均時速 ベストラップ
1 9 ビル・ハント 39 Triumph 650 オールジャパン 66.19.9 84.5 5.38.2
2 6 本田和夫 23 Triumph 650 オールジャパン 68.04.1 82.5 6.22.1
3 3 鈴木義一 27 ドリ−ム 305 ホンダスピード 68.14.5 82.3 6.39.3
4 10 秋山邦彦 23 ドリ−ム 305 ホンダスピード 69.07.0 81.1 6.29.8
5 5 立原義次 35 ヤマハ 250 ミナトヤマハ 74.46.6 74.9 7.17.2
6 15 伊藤史朗 19 BMW 600 ワールドワイド 76.40.3 73.1 6.12.6
. 11 谷口尚巳 22 ドリ−ム 305 ホンダスピード 81.45.5 68.5 6.38.0
. 21 木村 力 27 Triumph 650 オールジャパン 84.42.0 66.2 6.49.2
. 20 大岳 実 23 クルーザー250 沼津 85.05.6 65.8 8.13.2
. 1 折懸六三 25 メグロ500 ハイスピリッツ 1周目脱落
. 2 高橋国光 18 Triumph 650 ハイスピリッツ 2周目脱落
. 4 田中 治 19 Triumph 650 ジョンソンロード 2周目脱落
. 7 長谷川弘 24 クルーザー250 沼津 全周時間切れ
. 8 杉田和臣 33 メグロ500 ハイスピリッツ 6周目脱落
. 12 田中健二郎 27 ドリ−ム 250 ホンダスピード 5周目脱落
. 13 J・ホーレンベック 24 Triumph 650 カナダワナイト 4周目脱落
. 17 望月修 27 BMW 600 ハイスピリッツ 全周時間切れ
. 18 G・M・バーネット 19 Triumph 650 オールジャパン 4周目脱落

  クラブ優勝旗は「オールジャパン」に
クラブ得点一覧表
順位 クラブ名 125cc 250cc 350cc 500cc 旧車 国際 合計得点
1 オールジャパン . . . 5 . 9 14
2 ハイスピリッツ . 3 5 . 4 . 12
3 シェバート . . . 3 5 . 8
4 東京サイクロン . . . 7 . . 7
5 城北ライダース 6 . . . . . 6
6 スポーツライダー 5 . . . . . 5
6 高崎オート . 5 . . . . 5
6 ホンダスピード . . . . . 5 5
9 クマンバチ . 4 . . . . 4
9 ノーリミット . 1 . . 3 . 4
9 88 . . 4 . . . 4
12 ヤマハ中古車部 3 . . . . . 3
13 沼津 . 2 . . . . 2
14 オール千葉 1 . . . . . 1
14 ミナトヤマハ . . . . . 1 1


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