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GSの大成功で甘んじることなく、さらに発揮された スズキの先進性と独創力

 '76年に登場したGSシリーズはスズキ初の本格的4サイクルマシンであり、その成功はスズキの名を世界的に知らしめ、レースでの劇的活躍も相乗効果となり、性能・信頼性において絶大な信用を得るに至った。
 しかし、'80年を迎えるこころには高出力・高性能化のための技術競争が激化していく。4サイクルDOHC並列4気筒という同一形態のエンジンユニットを搭載した各社のフラッグシップマシンとの明確な差別化を図るため、より先進性をアピールできる新技術の投入が必須となったのだ。
 全社的支援体制で開発されたGSのエンジンは2バルブ直打式カムなど堅牢を誇る設計で、極めて信頼性が高く、そのスペックにおいても申し分のないパワーユニットであった。世界的に好評を博しているこのGSのエンジンは登場からわずか4年。市場での競争力はまだ十分有していたが、それに甘んじることなく全く新しいパワーユニットを搭載したマシンをデビューさせることになる。
 それは、GSの良血を受け継ぎ、スズキの革新性と独創性を発揮したニューマシンに搭載されたのである。

                                

                               GSX750Eエンジン

機関・車体ともに最新技術を投入した新たなフラッグシップ・GSXの登場

 ビッグバイクのパワー競争を勝ち抜くために、秀作GSのエンジンに代わる回答が、4バルブ・TSCC(ツイン・スワール・コンバスジョン・チャンバー)・組立式クランクシャフト採用のGSX1100Eだ。
 高出力化のためには高回転化はもとより、燃焼効率の向上を図らなければならない。DOHC4気筒は16バルブを有し、TSCC(複合渦流式燃焼室)を得て1075ccで105psというリッター100psに迫るパワーを発揮。ちなみに最高出力時のエンジン回転は、GS1000の8,000rpmから8,700rpmに高められた。滑らかにレッドゾーンまで吹き上がるエンジンフィーリングは、華麗なエキゾーストノートと相まって、GSの力強さとはまたひと味違った新鮮さで、ライダーたちに新テクノロジーの登場を実感させてくれた。

 デザインは、GSの“丸”から“角”へとイメージチェンジが図られ、大きな角形ヘッドライト&メーター、存在感ある大型フューエルタンク、直線的なラインデザイン、カムカバーなどでヨーロピアンイメージを主張し、独自のキャラクターを有した。
 車体は新設計のダブルクレードルフレームを採用し、フロントフォークには、ブレーキング時の車体の前のめりを軽減するANDF(アンチノーズダイブフォーク)を装備。星形のキャストホイールに穴あきトリプルディスクブレーキを装備し、ブレーキング性能にも最高のスペックを与えた。   
 また、乗りやすさの中にスポーティーさと安定性を内包させたスズキの好ハンドリングはこのモデルでさらに磨きが掛かり、ビッグバイクを操る楽しさを世界中のライダーに体感させてくれた。
 '80年に発売を開始したGSXは、輸出モデルを1100cc、国内モデルを750ccとし、各派生モデルを構築するロングセラーモデルとして大成していく。
 GSXのDOHC4バルブTSCCエンジンは、スズキのフラッグシップモデルにふさわしいポテンシャルと存在感を有し、次世代ユニット・油冷エンジンの登場までスポーツモデルの心臓を飾っていった。
 また、エンジン・車体を含め、トータルバランスの高い優秀性が、さらなる衝撃作・刀の登場の布石ともなったのである。

    
      
1980年 GSX750E          1981年 GSX1100E II          1983年 GSX750E4            1982年 GSX1100E

超独創的デザイン&高性能 MCの方向性をも変化させた“刀”登場

 GSX1100Eの成功はスズキの技術的独創性と先進性を証明して見せた。しかし、同時にさらなるスーパースポーツモデルの計画が進行していた。当時、機械的性能には要件を十分に満たしていたスズキでは、あえてデザインを既存のイメージを超越した物にするために外部委託を決定。ドイツ人デザイナーのハンス・ムートに白羽の矢が立った。
 そして、ムートから送られてきたデザイン画は驚嘆の声と共に迎えられたのである。GSXが持つ高性能感、特にスピードを表現した独創のライン構成は高機能が造形美と融合した未来的なフォルムを実現していた。ハンス・ムートの最高傑作として燦然と輝く“刀”がここに具現化されていたのである。
 高出力・高性能で覇権を争っていた'80年代初頭、スペックでは語れないデザインの力は商品力に直結してはいなかった。そんな時代にスズキが模索した超独創的存在感。何者の真似でもなくオリジナルな存在。所有する優越感と喜びに満ちたMC。高性能エンジンとハンス・ムートデザインの融合はスズキにとって必然だったのである。
 しかし、製品化に至る過程には今までない困難も生じた。独自のタンク形状、カウリングの実現やスエード調のツートンのシート。さらに、黒クロームメッキのエキゾーストなど生産工程を複雑化する課題が重複した。特に、国内向け750ccにおいては法規制との狭間で苦労を極めた。しかし、'80年のIFMAショーに登場した“刀”はムートの描いたデザインをほぼ変えることなくまとめられていた。市場は熱狂を持ってこのマシンを歓迎し、その後カタナブームが巻き起こったのは周知の通りだ。
 デザインのパワーとMCの独自の方向性を世に示した刀は、その後のMCデザインに多大な影響をもたらした。やがて125ccから1100ccまでの各バリエーションを展開するに至るスズキを代表するスポーツモデルとして20年の歴史を刻んでゆく。そして2000年にはGSX1100S KATANA Final Editionを発表し、華麗なる歴史を締めくくるのであった。
 ドラマティックに登場し、空前のヒットを飛ばした刀だが、その誕生は決して偶然からではなく、新しいムーブメントを追求し、革新を創り出すスズキのパイオニアスピリットが生み出した情熱の結果なのである。

                
        1980年 カタナ プロトタイプ         1982年 GSX750S カタナ              1983年 GSX1100S カタナ

                        
                     1984年 GSX750S3             2000年 GSX1100Sファイナルエディション 


             

 GSの登場は'76年。続くGSXは'80年に登場。衝撃の“刀”は翌'81年に市販化された。その後もスズキのビッグネイキッドは好評を博し、油冷エンジン搭載のGSFシリーズへと展開されていった。
 MC本来の存在感と操縦性が堪能できるのがネイキッドモデル。その頂点に立つ新フラッグシップがついにデビューする。1400ccを与えられた新生・油冷エンジン。国内直4エンジン最大のトルク126N・m(12.8kg・m)/5,000rpm。GS〜GSXの正当後継車であり、その全てがプライドを満たす存在。 GSX1400が発進する。

■直4ネイキッドモデル最大の排気量1401cc
 ナンバーワンネイキッドのプライドを同カテゴリー最高の排気量=1401ccで具現化した。もちろん、トルクは126N・m(12.8kg・m)という最高値を実現。

■独創と革新のテクノロジー
 スズキのフラッグシップとして、最新のテクノロジーをあますことなく投入した。新設計の油冷エンジン、フューエルインジェクション、存在感際立つスタイリング… その全てがプライド。

■新開発の直列4気筒DOHC油冷エンジン
 スズキが世界に誇る独創のエンジン形式・油冷をさらに進化させた、新生・油冷エンジン。

■先進のフューエルインジェクションシステム

1401ccの強大なパワーをコントローラブルに、快適に制御する電子制御システム。隼、TLのほかGSX-Rシリーズなど大型スポーツモデルに続々と採用しているフューエルインジェクションは今回、油冷エンジンでは初の採用。

■最上級の風格を備えたビッグネイキッド
 シャープ&ソリッドなデザインが重厚感と存在感を際立たせ、フラッグシップに乗るプライドを存分に堪能できるスタイルを実現。

■フラッグシップであるためのメイキング
 最上級としてのプライドは細部の造り込みにまで及ぶ。


    


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