イラストレ−タ−柴田賢二さんの作品
1964年世界選手権125ccフォアで圧勝したホンダであったが、この当時のグランプリはライバル各社の開発競争としての色彩が濃く、年度毎にマシンの優位性が入れ代わるシーソーゲームの様相を呈していた。例に違わず、翌'65年は2ストロークの進歩は凄まじく、スズキ、ヤマハの2ストローク勢に全く歯が立たず1勝も出来ずに終わった。その対抗策として他のRCレーサー同様に高回転・多気筒化が検討され、本田宗一郎の50ccツインを2個半連結させよとの発案により生まれた二輪初のDOHC5気筒エンジン搭載のRC148が同年最終戦日本グランプリに登場することになる。翌'66年ホンダ・ファイブはRC149となり、そのエンジンレイアウトの奇抜さの割に導入当初から安定した性能を発揮、世界選手権全10戦をホンダとヤマハが共に5勝づつ分け合うという激戦の末、僅差で125cc製造者、個人両タイトルの奪回に成功、ルイジ・タベリが '62、64年に続き3度目の125ccチャンピオンの栄冠を手にした
ENGINE:Air-cooled 4-stroke parallel 5cyl,
DOHC 4-valves gear train
BORE AND STROKE:35.5x25.14mm
COMPRESSION RATIO:12.0:1
DISPLACEMENT:124.4cc
POWER OUTPUT:
Over 34ps@20,500r.p.m.
IGNITION:Magneto
CARBURATION:
Piston or flat valve;Keihin
CLUTCH:Dry multiplates
GEAR BOX:6-speeds

1966 HONDA RC149
エンジン種類 空冷4サイクル並列5気筒DOHC4バルブ
排気量 124.42cm3
最高出力 over 34PS/20,500rpm
最大トルク 1.22kgm/19,300rpm
最高速度 over 210km/h
車両重量 85kg
変速機 8段変速
サスペンション(前) テレスコピック
サスペンション(後) スイングアーム
世界初の5気筒125ccロードレーサー。'65年日本GP2位、RC148の発展型。'66年度メーカーズ/ライダーズ チャンピオン獲得。(東ドイツGP優勝車 No.177 L. タベリ)
1966 / ホンダ RC149

●RC149/主要諸元
乾燥重量 85kg
エンジン形式 空冷5気筒前傾
カム形式/駆動 DOHC・ギヤトレーン
バルブ数 4
総排気量 124.418cc
ボア×ストローク 35.5×25.14mm
最高出力 34ps以上/20,500rpm
最大トルク 1.22kg-m/19,300rpm
キャブレター形式 フラットバルブ
点火方式 マグネトー
変速機 8段
潤滑方式 ウェットサンプ圧送併用
フレーム形式 バックボーン
前ブレーキ ツインパネル2リーディングドラム
後ブレーキ形式 シングルパネル2リーディングドラム
前サスペンション形式 テレスコピック
後サスペンション形式 スイングアーム
前ホイール形式 H型アルミリム/スポーク
後ホイール形式 H型アルミリム/スポーク
前タイヤサイズ 2.50-18
後タイヤサイズ 2.75-18

1959年のマン島初挑戦以来、8年間に渡って続けられたホンダのGP125ccクラスへの参戦の有終の美を飾った記念すべきマシン。50cc2気筒で実現したショートストローク/超高回転のエンジン技術を5気筒にまで昇華させ、モーターサイクルエンジンとして他に例を見ない5気筒というレイアウトを実現。

 最高出力の34馬力は、初挑戦時のRC141/142の15.3/18馬力と比べて実に2倍という成長ぶり。さらに、2気筒のRC141/142が87kgの車重だったのに対し、このRC149では5気筒エンジンを搭載しながら85kgの車重に抑えられており、8年間の技術の進歩を如実に物語っている。1966年シーズンは10戦中5勝を果たし、125ccクラスのメーカータイトルを獲得するとともに、ルイジ・タベリが年間チャンピオンの座にも輝いている。

●排気量:124.418cc
●気筒数:空冷5気筒前傾
●ボア×ストローク:35.5×25.14mm
●最高出力:34ps以上/20,500rpm
●最大トルク:1.22kg-m/19,300rpm
●最高速度:210km/h以上
●前タイヤ:2.50-18
●後タイヤ:2.75-18
●乾燥重量:85kg
RC149
 1966年(昭和41年)